今までに気がついた問題点 2015-07-23

2017年1月24日

有機JAS法の有機農産物とその栽培管理に関する定義は例外規定が多くありますが、基本的に次の3点です。

1. 栽培の場合は過去2年間、育苗の場合は過去3年間、有機JAS法で使用が禁止されている化学肥料や農薬や資材がほ場内で使用されていないこと。

2. 有機JAS法で使用が禁止されている化学肥料や農薬や資材がほ場内に入らないようにしっかりとした侵入防止のための管理がされていること。

3. 肥料や堆肥はほ場内で生産された作物の残滓(ざんし)またはほ場内の草木のみを使用すること。やむを得ない場合は周辺地域の草木も使用できるが使用禁止農薬や肥料や資材が混入していないか確認してから使うこと。

以上の3項目だけではどうしても有機農産物を生産できない場合に限って例外規定に出ているものを使用できるとありますが、これだと市販されている有機資材は全て使えないので、この3項目を厳守して消費者に販売している生産者は日本にはいないと私は考えています。ほとんどの生産者が例外規定をふくめた栽培管理をしているはずです。私自身これだけでは降水量が多く森林面積が広くて中山間地域が数多く点在する日本の国土に適合させるのは不可能に近い気がしています。ヨーロッパやアメリカの平原だったらできるかもしれませんが。

絵に描いた餅では空腹を満たすことは出来ないわけですが理想としている考え方は理解できます。

私としても有機JAS法の精神を可能な限り順守して有機農産物が生産できるような圃場づくりを2012年から進めてきました。その中でいくつか気がついた問題点がありました。

1.休耕田、耕作放棄地をふくめて団粒構造が完全に破壊された耕土の農地がほとんどでした。長年のトラクターや耕うん機によるものでしょう。

2.開拓田はその成り立ち上、耕土層が15センチほどと浅く、その下はグラウ層ではなく硬盤状態でした。昔桑畑や山だったところを水田にしましたが、トラクターが作業しやすいように地面が硬い方が都合が良かったためです。

3.必然的に雨が降ると水がなかなか抜けず地下水位が嵩い状態が続きます。水稲にとっては都合がいいことが野菜では致命傷になりました。

4.何も工夫せずに有機物をすきこんだり入れたりしただけでは半年ほどで土壌微生物によって分解されつくされていました。

5.隣接している農地から飛散してくる発泡スチロール製のゴミの侵入防止対策が急務となりました。

以上の点を改善して団粒構造に戻す作業を去年2014年から取り組み始めました。効果が出ているかどうかの目安には雑草の植生の移り変わりを見ることにしました。耕作放棄地ではスギナ、クズ、ススキ、西洋アワダチソウが占領していますが、これらの雑草が別の雑草に変わっていくようにしていくものです。

そして団粒構造を早く作るために不耕起栽培用うねを高畝で作ることにしました。どのくらいの高さとうね幅が作業労力をそれほどかけずにすむか合わせて研究を始めました。(土壌管理に続きます)