JGAPで有機農業を始めた理由。私が体験した農家研修は「反面教師」なんです-2017-10-06

2019年10月18日

私は2011年4月から翌年3月までの1年間穴水町の農家で研修した後に、茨城県にある日本農業実践学園という就農準備校で4月から1か月間有機農業の研修を受けてから新規就農しました。

有機JAS規格の圃場は日本農業実践学園で、JGAPは茨城県つくば市にある農産物直売所『ずほの村市場』で実際に目にして取り組みを始めました。

帰郷する前は長野県安曇野市で5年間働いていました

本音を言うと穴水町に戻らずに安曇野市に骨を埋めるつもりでいました。

戻るきっかけになったのは、民主党政権時代に起きた2010年9月7日におきた尖閣諸島中国漁船衝突事件でした。今はインターネットが普及しているので検索すれば見つかりますが、2008年北京オリンピックの聖火リレーが4月26日に長野市でありました。そのときに「チベットに自由を」の支援者と中国政府が動員した中国人留学生との間で激しいぶつかり合いがありました。

このときに長野市の騒動を安曇野から見ていて中国の脅威を感じましたが、尖閣諸島中国漁船衝突事件で中国の狙いがはっきりと分かりました。親父の体の具合が悪いこともあって、それで帰郷しました。

教科書を使った教育現場と実際の現場が違うのはどの産業もいっしょ

でも田舎では仕事はなかなか見つかりません。親父が大腸がんの手術で4月から入院するので町外に出るわけにいかない(母が毎日病室に面会に行きたいと言ってたのでその送迎)という家庭の事情もありました。前町長の坂本明さんが奥能登の森林組合長をしているので仕事の誘いがありましたがそういう事情であきらめて、穴水町でも増えている耕作放棄地を借りて農業することにしました。

でも農業にかかわらず新規でビジネスを立ち上げる場合は全くの未経験で成功することは不可能なことです。それで近所の農家で研修することにしました。

教科書を使った教育現場と実際の現場が違うというのはどの産業でも同じなので、穴水高校を卒業してからずっと働いてきた私としてはそこはあまり気になりません。しかし教科書の内容をある程度分かっていないとどこがどう違うのか気がつかないので、本を買ったりインターネットの就農準備校での勉強も始めました。

サトイモの腐った種イモと使える種イモの選別で私はサトイモがトラウマになりました 2011年6月11日

一例をあげると、日本に稲作が伝来する前から日本にあった作物でサトイモがあります。栽培するときは腐った種イモは使えません。それは当然なんですが、私の初めてのサトイモ体験は腐った種イモと使える種イモの選別から始まりました。

デジカメの撮影情報をONにしているので、Exif情報で2011年6月11日に撮影した写真ですが、この時期では腐っていても当然ですね。教科書ではサトイモの植えつけは5月です。

今から植えても大丈夫なのかも当時の私は全部未体験で分かりません。

結論言うと収量は別にして収穫はちゃんとできました。

「蒔(ま)かぬ種は生(は)えぬ」ですが、大量の腐った種イモの選別作業を2日がかりでやったので、私はサトイモはトラウマになって触りたくない作物になりました。

あれから6年経ってやっと八つ頭という品種のサトイモを扱う気になりました。

他にも様々な教科書と違う体験をしましたが、最後にあとひとつ。

雨の中で10アールのスイカの苗の定植作業 2011年6月1日

野菜の苗を畑に定植する場合は教科書的には雨が降っている日はやりませんが、どうしてなのか理由は分かりますか?

一番大きな理由は雨の日に畑の土を踏んだりいじったりすると団粒構造が壊れて作物の生育に障害が出やすくなるからですね。

市場に出しても高い値段で売れるようなものが出来なくなるからです。

でも無理をしてもやらないといけない場合もある。

それで10アール分スイカの苗の定植作業をやったけど、ビニールの上にのせた土が土砂降りの雨でビニールの上を流れていくような状況でした。

写真がピンボケしてるのは風雨の影響です。結果的には全滅しました。

教科書と違う体験は体を壊すような悲惨なものでなければ、ブログや話のネタにできます

私は穴水町にいる若い担い手農家さんに比べるとはるかに他県にまで出かけて農業研修や講習を受けてますが、終わったあとに懇親会といういわゆる飲み会がある場合が多いです。

そのときに教科書やインターネットに出ていないような特に自分が体験した話の方が受けがいいみたいです。

といっても事故とかケガとか悲惨な体験は場がしらけるので、おバカっぽいネタになりますが、どういうわけか農業未経験者が農家研修するとほとんどの人が経験しています。

まあ受け入れ農家がどうせすぐに辞めるだろうと考えてわざとさせているので当然ですが。

今はASIAGAPと有機JAS で取り組んでいるのでそれを基準に考えると反面教師といえますが、ほとんど飲み会でのネタにできるし地元の人が誰もいないので気楽です。

そういう見方をすれば農家研修はネタの宝庫です。